法務省の「社会を明るくする運動」で鉄拳さんのパラパラ漫画が制作され、沖縄国際映画祭のイベントとして桜坂劇場で上映されました。

このアニメーションは、非行に走る青年が更生していく姿を描いたパラパラ漫画。この運動を象徴する「幸福（しあわせ）の黄色い羽根」やキャラクターの更正ペンギン「ホゴちゃん」、そして「保護司（ほごし）」が登場するのもポイントのひとつです。

法務省の「社会を明るくする運動」とは！？

～犯罪や非行を防止し，立ち直りを支える地域のチカラ～はすべての国民が，犯罪や非行の防止と罪を犯した人たちの更生について理解を深め，それぞれの立場において力を合わせ，犯罪のない地域社会を築こうとする全国的な運動です。（法務省の公式ページより）

「社会を明るくする運動」の歴史は古く、1951年から始まり今年で第66回目を迎えています。この運動のキャンペーンサイト「おかえり」 は、刑務所作業製品を販売し、モダンなデザインの「マル獄シリーズ」やバーベキューコンロも購入できる！？　今回のイベントを通して初めてこの運動とキャンペーンサイトの存在を知り、「保護司」がどのような仕事なのか話を聞いてきました。

鉄拳の新作パラパラ漫画「社会を明るくする運動」、そして過去に制作した作品たち

桜坂劇場で開催されたイベントは、MCのあべこうじさんの軽快なトークと鉄拳さんのゆるいトークが繰り広げられ、新作を含む5作品が上映されました。

鉄拳さんの話をまとめると、1秒間に使うイラストは6枚。イラストは全て手描きだそうです。温かみが残る手描きのイラストに深みのあるストーリーと曲をのせて完成する鉄拳さんのパラパラ漫画、その代表作といえばやはり「振り子」でしょう。2012年に話題を呼び、自身のパラパラ漫画作品と共にDVD化、2015年2月には中村獅童さんと小西真奈美さんのダブル主演で映画化されました。

【公式】鉄拳『振り子』パラパラ漫画 ／ furiko

過去の仕事の話からは、パラパラ漫画「振り子」を世界に広めた立役者であり、FUJI ROCK FESTIVALやSUMMER SONICにも出演したイギリスの著名なロックバンド「MUSE（ミューズ）」のビデオクリップの書き下ろし。

海外の風景や人物像を研究しながら約2カ月間かけて1,500枚ほどのイラストを描いたと話す鉄拳さん。想像以上に根気が必要な作業のようです。

MUSE - Follow Me (鉄拳 Version) Official

忙しい日々に流されながらも平凡な毎日がいかに幸せであるかを実感させられる切なくも爽やかなストーリーの「名もない毎日」。日々の怒りや葛藤、ときには落ち込み、また喜び合いながら日常の風景にこそ幸せが溢れている様子を巧みに描き、つい共感してしまう作品です。

鉄拳パラパラマンガ「名もない毎日」 RAM WIRE ミュージックビデオ

そして新作の「社会を明るくする運動」は、非行に走る主人公の心の葛藤や更正してく姿を描いたパラパラ漫画です。このストーリーには、「保護司」の存在が必要不可欠。現在は全国に約48,000名、沖縄県内は約600名の保護司がいて、全員ボランティアで活動しています。

主な仕事は、保護観察の人の相談を受けたり助言をしたり、少年院や刑務所に入っている受刑者の家族と話し合いを重ねて出所後の環境を整えていくことなどが挙げられ、受刑者の更生を目的にした重大な任務を背負っています。

新作の動画はこちらからご覧いただけます → https://youtu.be/sIEggA9c8fM

国を挙げて活動する「社会を明るくする運動」をこのパラパラ漫画を通して世の中に広め、そして伝えていきたいと語る鉄拳さん。熊本地震の復興を応援するパラパラ漫画を描きたい、と今後の意気込みを表明しています。

心を揺さぶり何かを訴えかけてくる不思議な力を持つアニメーション。心の奥に眠っていた思いが掘り起こされ、その先に勇気と希望をもらえる作品ばかりです。何かに迷ったとき、前へと進む勇気がほしいとき、このパラパラ漫画が新たなキッカケを与えてくれるかもしれません。

OKINAWA CHANNELのテーマは沖縄の「かわいい」を届けること。普段はほとんど怒ることがないと話す鉄拳さんの「かわいい」と全身姿の「かわいい」ホゴちゃんを最後にお届けして、テーマの「かわいい」にこじつけておこうと思います。

鉄拳さんの「かわいい」笑顔。

更生ペンギン「ホゴちゃん」。口角が上がったモテ顔のようですね。